開設者のプロフィール 上田 正巳 経済誌でライターを勤めるかたわら札幌市内のベンチャー企業経営者を組織化した「上勇会」を運営。2000年5月に中小企業向けクラウド・コンピューティング・サービスを手がける株式会社イー・カムトゥルーを設立。
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2019年 08月 13日
鬱病そのものの病理として、常にネガティブな思考に陥る。と、同時にすべての言の葉が、暗く沈んだ地底の奥底から絞り出される、マイナスの磁力側に満ち溢れたものだらけになる。高橋源一郎的に言うならば、それは「呪いの言葉」の数々なのである。 身内から発せられる「呪いの言葉」は、健常者(本人がそう思っているだけ、という可能性は否定できない)の精神を痛烈に破壊せしめるチカラを携えている。しかし、鬱病患者にとっては、「呪いの言葉」を発することが、数少ない救いの手段となっているから、恐ろしい負のスパイラルが形成されることになる。 ここで、健常者の側がダークサイドに落ちてしまっては、総崩れになってしまうから是が非でも避けなくてはならない。したがって、健常者の側は、「呪いの言葉」に対する鉄壁のブロックを用意することになる。呪術的なモードを跳ね返す武器として、極めて有効な手立てがある。 徹底的に普通の日常を強化すること、である。たとえば、何が何でも、夏の夕暮れにはラガービールを傾ける。またある時は、開高健の文庫をめくりながらボンベイサファイアのソーダ割をチビチビとやる。あるいは、お気に入りの音源をボリューム最大にして市内をドリブンする。マイナスの魔界に引きずり込まれないためには、何気ないルーティンを粛々と、決して大騒ぎせずに、きちんと守ること、それに尽きるのだ。 では、患者の主治医との終わりなき禅問答に、陽気に臨むこととしよう。
by masami-ueda1
| 2019-08-13 13:54
| 日常・短観
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